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習近平主席の顔に泥を塗ったベネズエラ・マドゥーロ大統領拘束【初心者向け解説】


「アメリカのベネズエラ攻撃を考える」という記事を書いた直後、
アメリカはベネズエラの首都カラカスに乗り込んで、
マドゥーロ大統領拘束、アメリカに移送しました。

今回は、この拘束について考えてみたいと思います。
アメリカが強硬手段に出た要因はいくつかあるでしょう。
今回は、その中でも特に大きいと思われる米中関係に焦点をあててみます。

まず結論から。


マドゥーロ大統領拘束は米中関係の延長線上にある

アメリカによるマドゥーロ大統領拘束は、アメリカと中国という二つの大国の本格的な力比べが始まる起点になるかもしれない

昨秋、一度は改善したように見えた米中関係。
しかし、そのわずか2か月後に起きた南米の親中国家ベネズエラのマドゥーロ大統領の拘束は、
アメリカによる中国への新たな挑戦状なのかもしれない。


前代未聞 他国の現職大統領を拘束したアメリカ

マドゥーロ大統領はなぜ拘束されたのか

ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は、長年にわたり強権的な政権運営を続けてきました。
原油価格の下落や経済政策の失敗により、国民生活は崩壊。インフレは制御不能となり、およそ800万人の国民が国外へ脱出する事態に陥っていました。

またベネズエラはキューバと同様に、反米的な姿勢を取り続けた国です。

トランプ大統領は政権1期目の時からベネズエラに圧力をかけ続け、政権転換を目指していました。
しかし、1期目ではそれを実現できませんでした。

政権2期目に入って、ちょうど1年が経った今月、
ついに、ベネズエラ本土に乗り込んで、強硬手段によってマドゥーロ大統領拘束し、
アメリカに移送したうえで、麻薬の密輸に関わった罪などで起訴しました。

アメリカの行為の異例さ

アメリカが行ったことは
事実上の政権転覆であり、第2次大戦後アメリカが中心に築いてきた世界秩序を自ら崩壊させかねないもので、
世界全体に大きな衝撃を与える出来事となりました。

中国やロシアなどアメリカに対抗する国はすぐさま国際法違反だと批判の声を上げました。
西欧諸国やウクライナ、日本などはアメリカへの直接的な批判を避けつつ「情勢を見守る」というトーンに終始しています。

そこまでしてアメリカが強硬手段に出た訳は何でしょうか?
表向きの理由は「麻薬密輸への対抗措置」でしたが、そこには別の計算があった可能性があります。


ベネズエラと中国の蜜月関係

石油を介した中国とベネズエラの親密な関係

ベネズエラと深い関係を築いてきたのが中国です。
中国とベネズエラは、約20年にわたり政治・経済の両面で非常に密接な関係を築いてきました。

両国は「戦略的パートナーシップ」を掲げ、特にエネルギー分野で深く結びついています。

中国はベネズエラ産原油の主要な買い手で、2007〜2016年の間に、約1056億ドルの融資・支援を実施。
返済は石油と引き換えの「オイル・フォー・ローン」方式。

ベネズエラは世界1位とも言われる有数の原油埋蔵量を誇ります。

中国はベネズエラをラテンアメリカの重要パートナーと位置づけています。

アメリカの「裏庭」である南米での中国進出

アメリカにとっては、自分の「裏庭」とも言える中南米のベネズエラとキューバが中国との関係を深めていることに懸念を示してきました。

この両国の政権転換はアメリカにとって悲願でした。

しかし、政権転覆を図れば、中国が黙っていないことは明らかです。
それでも今回、アメリカは強硬手段でこれを実行しました。

今回の事件のあと、中国は直ちに外務省談話を出し、アメリカを批判しました。


「アメリカの覇権的な行いは国際法に重大に違反し、ベネズエラの主権を侵害して、地域の平和と安全を脅かしていて断固として反対する。
アメリカが国際法と国連憲章を順守し、他国の主権と安全を侵害するのをやめるよう強く求める」


去年の米中首脳会談で関係改善も・・

関税戦争で最悪だった米中関係

トランプ大統領就任後、米中関係は急速に悪化しました。
互いに関税を引き上げ合う貿易戦争は、両国経済だけでなく、世界経済全体に不安をもたらしていました。

トランプ大統領の方針転換?

こうした中で開かれた去年10月30日韓国プサンで行われた米中首脳会談。


トランプ大統領はそれまでの強硬姿勢を一部転換し、中国への関税引き下げに踏み切ります。

レアアースという最大の成果

その裏で、アメリカは重要な成果を得ています。
それが、中国が事実上支配してきたレアアースの輸出です。

レアアースは、半導体、EV、軍事技術に不可欠な資源であり、アメリカにとって長年の戦略的課題でした。
この点で、トランプ政権は大きな実利を手に入れたのです。

アメリカとの貿易摩擦の中で、中国がレアアースの禁輸に踏み切ったことで、
アメリカは振り上げたこぶしを下したと見られていました。

この会談結果に、国際社会は「米中は和解へ向かうのではないか」という期待を抱き、
アメリカの株価も上昇しました。


わずか2か月後の衝撃|ベネズエラ奇襲攻撃

中国特使が訪問した直後の奇襲攻撃

しかし、首脳会談からわずか2か月後の今年1月3日。
アメリカはベネズエラへの電撃的な軍事介入を断行します。

しかもそれは、中国のラテンアメリカ事務特別代表・邱小琪氏が率いる代表団と会談した数時間後でした。
特使はマドゥーロ大統領とにこやかに握手を交わしていました。

習近平主席の面子を潰した意味

このタイミングは、中国にとって極めて屈辱的でした。

おそらく中国側はアメリカの攻撃を予期していなかったでしょう。

「中国の友好国を、目の前で叩いた」
そう受け取られても不思議ではありません。

結果として、習近平国家主席の面子を大きく損なう形となりました。


アメリカの思惑は「中国の影響力排除」

豊富な石油埋蔵量を誇るものの、ベネズエラ自体がアメリカの大きな脅威にはならないとでしょう。

しかし、ベネズエラが中国の南米戦略における重要拠点となる、となると話は別です。

自分の裏庭(=中南米)から中国の影響力を排除すること

これがアメリカの大きな目的のひとつと言ってよいと思います。

中国が強く反発すれば、米中関係は再び全面対立に戻ります。
しかし中国経済は減速しており、その選択は簡単ではありません。

アメリカは、中国が反撃できない状況を正確に読んでいた可能性があります。

もし反撃してきても「受けて立つ」。あるいは「また懐柔する」。
これがトランプ大統領の本当の対中政策なのかもしれません。


迫る米中首脳の国賓訪問

今年4月、トランプ大統領は中国を国賓訪問する予定です。
その後、習近平国家主席のアメリカ国賓訪問も予定されています。

中国側が訪問をキャンセルすれば、「米中対立」に逆戻りです。
一方で、経済が減速する中国にとって、アメリカとの関係修復は最優先課題です。

中国がどう出るのか、これから大きな焦点になります。


まとめ|ベネズエラ攻撃とアメリカの思惑

  • 中国にとってベネズエラは戦略上重要なパートナーだった
  • ベネズエラ・マドゥーロ大統領拘束の要因のひとつは中南米での中国の影響力排除がある
  • 4月に予定されているトランプ大統領の中国国賓訪問が大きな注目ポイント

トランプ大統領は、ベネズエラへの決定的な軍事行動に踏み切った場合、
中国が猛烈に反発することはもちろん予想していたでしょう。

それでもその決断をしたということは、
中国に挑戦状をたたきつけたのと同じではないかと思います。

中国がどのような対応をするのか。
世界が注目しています。

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