気になる国際ニュース

パキスタンとアフガニスタンが「戦争状態」へ|原因・背景・今後をわかりやすく解説

アメリカがイランを攻撃するか、という大きな緊張状態にあるなか、パキスタンとアフガニスタンの関係が、「戦争状態」と呼ばれる段階に突入しました。両国はともにイスラム教徒が国民の多数を占め、かつて良好な関係を築いていた時期もありました。

それにもかかわらず、近年、両国の関係は悪化の一途をたどり、ついに「戦争状態」にまでなってしまいました。今回は、なぜパキスタンとアフガニスタンがこの事態に至ったのかを初心者向けにわかりやすく整理します。


パキスタンが「戦争状態」と宣言した最新動向

まず、パキスタンとアフガニスタンの位置ですが、以下の通り、インドとイランという大国にはさまれたアジアの西にあります。

2026年2月27日、パキスタンのハワジャ国防相は、自国がアフガニスタンと「戦争状態にある」と発言しました。

パキスタン軍は前日の26日夜から27日朝にかけて、アフガニスタン国内の主要都市に対して攻撃を実施。標的となったのは、同国を実効支配するタリバン暫定政権の拠点であり、報道によれば数百人規模の死者が出ているとみられています。

この攻撃よりも前、去年から今年にかけて、パキスタン国内ではテロ事件が相次ぎ、パキスタン政府はこの報復としてアフガニスタンを攻撃する、ということが繰り返されていました。


なぜ両国は対立?最大の鍵は「パキスタン・タリバン運動(TTP)」

今回の衝突の本質を理解するうえで欠かせないのが、「パキスタン・タリバン運動」(TTP)の存在です。

TTPは、パキスタン国内で活動するイスラム過激派組織で、「パキスタン政府を打倒し、厳格なイスラム法に基づく国家を樹立する」ことを目的としています。つまり、彼らにとってパキスタン政府そのものが敵なのです。

名前はパキスタン・タリバン運動ですが、アフガニスタンを支配するタリバンとは基本的にはまったく別の組織です。ただ、その設立経緯において、TTPがアフガニスタンのタリバンと深いつながりを持っています。この関係が、今回の国家間対立を引き起こす大きな要因となっています。


TTP誕生の背景|9.11以降の歴史

TTPの誕生は、2001年の同時多発テロにまで遡ります。この事件を引き起こしたのが、国際テロ組織「アルカイダ」です。

この攻撃を受け、アメリカはアフガニスタンへの軍事侵攻を開始し、タリバン政権を崩壊させました。その結果、多くのタリバン戦闘員が隣国パキスタンへと流入します。

当時のパキスタン政府はアメリカと協力し、国内で対テロ作戦を展開しました。しかし、この方針に反発したパキスタン人などの勢力が「タリバンを支援すべきだ」として結集し、2007年にTTPを結成したのです。

つまりTTPは、「反米・反パキスタン政府」という二重の敵意を背景に生まれた組織でした。


2021年の転機|アメリカ撤退とタリバン復活

その後また大きな転機が訪れます。

2021年、アメリカ軍がアフガニスタンから撤退すると、タリバンは急速に勢力を回復し、再び政権を掌握しました。

タリバンは暫定政権を樹立した後、かつて共に戦ったTTPとの関係を重視します。しかし、タリバン暫定政府は国際的に孤立しており、国際社会に認められるために、外国との衝突を避けたいと考えていました。パキスタン政府からもTTPの取り締まりを求められ、タリバンは板挟みになりました。タリバンはパキスタンとの衝突を避けるため、TTP戦闘員をアフガニスタン国内に移住させるという対応を取りました。


TTPを抑えられなかったタリバン暫定政権

タリバンの思惑に反し、TTPは活動をやめませんでした。彼らはアフガニスタンを拠点にしながら、パキスタン国内への越境攻撃を継続したのです。

警察施設や軍事拠点への襲撃が相次ぎ、パキスタン側の被害は拡大しました。

これに対しパキスタン政府は、「タリバンがTTPを黙認している」と強く非難。取り締まりの強化を要求しましたが、タリバン側は効果的な対応を取ることができませんでした。

この時点で、両国の関係は安全保障上の深刻な対立へと変質していきました。


ついに武力衝突へ

度重なる越境テロにより、パキスタンは「これ以上は容認できない」という限界に達します。

その結果、2月27日未明、首都カブールを含むアフガニスタン領内に対する直接攻撃に踏み切りました。これは従来の「対テロ作戦」の枠を超え、事実上の国家間武力衝突です。


今後どうなる?南アジア情勢への影響

今後の最大の焦点は、この衝突が全面戦争に発展するかどうかです。

現時点では限定的な軍事行動にとどまっていますが、報復の連鎖が続けば、エスカレーションは避けられません。また、地域には核保有国であるパキスタンが存在するため、国際社会も強い懸念を示しています。

さらに、この混乱はテロ組織の活動を活発化させるリスクも孕んでいます。国家の統治が弱まる地域では、過激派が勢力を拡大しやすくなるためです。


まとめ

アフガニスタンをめぐっては、1980年にソ連が侵攻し、これに対抗するイスラム教徒たちが後に国際テロ組織「アルカイダ」を組織し、
2001年の米同時多発テロにつながります。

大国が関与して始まった負の連鎖。どこで断ち切ることができるのでしょうか。

-気になる国際ニュース